私の住む街、博多は美味しいものが多い。らしい。
夜は観光客やサラリーマンが団らんする屋台の灯りが点在してにぎわい、飲食店も鍋物がわりあい多いようだ。偏食気味の私はその恩恵に預かったことがあまりなく、住んでいる身としては美味しいものが多いというイメージは全くない。
けれど、鍋は人一倍よく食卓に並ぶ家庭だった。毎日並ぶと言っても過言ではない。
もつ鍋、白魚鍋、すき焼き、しゃぶしゃぶ、たまに蟹鍋。あまたあるバリエーションの鍋をすすってきた。
味が薄くて野菜もしなしなしている。子供の頃はそう思っていた。毎夜鍋が食卓の中心に置かれているのを見てげんなりしていたけれど、今は違う。味覚が多少大人になり、味が薄い汁でも上品に楽しめるようになったのだ。
私はきっとこれからもこの街に住み続ける。名物料理をもっと楽しめるようになったら、郷土愛もより強くなりそうだ。
今週のお題「鍋」